ネットバンク保護って?
いくつかのセキュリティソフトに装備されている「ネットバンキング保護」機能。一体どんな機能なのか、またどんなメリットやデメリットがあるのかを詳しく解説します。
ネットバンキング保護とは
まず始めに、「ネットバンク保護」と銘打った機能が無いセキュリティソフトでも、ネットバンク利用時の安全性向上が見込めないわけではありません。ウイルス感染による不正送金被害や、フィッシング詐欺による損失などは「ネットバンク保護」の機能が無いソフトでも十分対策できます。
その上で、わざわざ「ネットバンク保護」という機能を追加しているソフトは以下のような仕組みを取り入れています。
ネットバンキング保護の仕組み
1.ネットバンキング専用のブラウザを用いる
2.ネットバンキング利用中は他の操作に制限が掛かる
ネットバンク保護の特徴は上記の2つです。
ネットバンキングを利用する際には、FirefoxやChromeといった日常使っているブラウザではなく、各セキュリティソフト独自のブラウザ(もしくは通常のブラウザに保護機能が追加された状態)を使います。例えば、下の画像はESETのネットバンク保護ブラウザです。
ウィンドウの縁が緑色になり、上部にはESETのロゴが追加されています。
更にもう1枚画像で説明します。下の画像はアバストのネットバンク保護です。
機能を有効にすると、ネット銀行のページ以外はグレーアウトして、他の操作が一切出来ない状態になります。
いずれの方式も、ネットバンキング操作中に他のウィンドウが開き、誤って偽サイトにパスワードなどを入力してしまったり、キーボード入力を盗む「キーロガー」というウイルスによる被害を防ぐための対策です。
ネットバンク保護のメリット
ネットバンキング保護を使うメリットは、何と言ってもネットバンキングを利用する際の安全性向上が見込める、という点です。
ネットバンキングの不正送金被害は2018年第1四半期だけでも全国で1.8億円(67件)発生しています。法人の被害はわずか1件と激減しているものの、個人の被害が依然として続いています。
こうした被害をより確実に防ぐために、ネットバンキング保護機能が砦となることが期待されます。
ネットバンク保護のデメリット
デメリットも無いわけではありません。
被害が完全に無くなるわけでは無い
破られないセキュリティ対策など存在しません。
ネットバンク保護を使っていれば安心、という意識を持ってしまうと反って危険性が増します。
ワンタイムパスワードを導入していても、被害に遭う時代です。ネットバンク保護「ごとき」で被害が防げるなどと考えるのはやめましょう。
機能の使い勝手が悪い
日常利用しているブラウザでネットバンキングにアクセスすると、自動でネットバンキング保護に移行するソフトもあります(ESETやカスペルスキーなど)
一方で、いちいち「保護ブラウザ」を立ち上げる必要があるソフトもあります(アバストなど) これは不便です。
また、機能が起動している間は他の操作が一切出来なくなるソフトもあります。そうすると、例えばメールから振込先の口座番号などを「コピペ」することも出来なくなるので、不便です。
機能の有無と性能の比較
「ネットバンク保護」機能の有無と、ネットバンキングを対象とした脅威の防御率の比較表です。
ソフト名 | バンキング 保護機能 |
MRG Effitas Online Banking Certification | |
---|---|---|---|
2017/Q4 | 2018/Q1 | ||
ESET | 100% | 100% | |
ノートン | 100% | 100% | |
Avast | 100% | 100% | |
F-Secure | 100% | 100% | |
カスペルスキー | 100% | 100% | |
AVIRA | 100% | 100% | |
Bitdefender | 100% | 100% | |
AVG | 100% | ||
Windows Defender | 100% | 97.1% | |
ウイルスバスター | 100% | 82.4% | |
マカフィー | 98.9% | 98.5% | |
webroot | 92.6% | 100% | |
G Data | 95.8% |
イギリスの第三者評価機関「MRG Effitas」が実施した、オンラインバンキングを対象としたウイルスの検知率のランキングです。
ここだけの話・・
世間で一般的に必要とされているレベルのセキュリティ対策をしていれば、ネットバンキングで不正送金被害に遭っても被害額を補償してもらえます。全国銀行協会発表の情報ですが、平成27年度には発生した被害の内97.9%が補償の対象となったそうで、平成24年度以降で最も低かった年でも94.1%が補償されています。
したがって、ネットバンキングを過度に恐れる必要はありません。
とはいえ、補償されるまでに一定の時間が掛かりますから、特に企業では不正送金被害が倒産の引き金となることもあり得るわけです。法人ユーザーの方は必ず電子証明書の利用などを含め、厳重な対策を取ってください。
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