ノートPCはこれから有機ELディスプレイが主流になるというお話

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ノートPCと相性が良い有機ELディスプレイ


 「有機ELテレビ」が注目を集めていますが、実は有機ELディスプレイはノートPCと非常に相性が良いです。この相性の良さをふまえると、将来的にノートPCの多くは有機ELディスプレイになっていく可能性が高いです。



有機EL化が必然と言える根拠


 まずは有機ELディスプレイとノートPCの「相性が良い」と言える根拠からご説明します。


低消費電力 電池持ちが良くなる


 有機ELディスプレイは、液晶よりも低消費電力です。


 既に有機EL化が進んでいるスマホ分野では、有機ELが液晶と比べて約30%も消費電力が少なく、電池持ちに大きく貢献しています。


ThinkPad X1 Yoga
有機EL 液晶
電池持ち 13時間 10時間

 ノートPCにおいても、既に発売されているLenovo ThinkPad X1 Yogaの有機ELモデルと液晶モデルと比較すると、有機ELの方が3時間も電池持ちが良いです。


 ノートPCは持ち歩くために購入するユーザーも多いので、消費電力が少ない=電池持ちが良いという有機ELの特性はノートPCにもってこいです。


薄く・軽くつくることが出来る


 有機ELディスプレイは液晶と比べて構造がシンプル。
 そのおかげで、液晶と比較してディスプレイを薄く・軽くつくることができます。


 現在既に販売されている有機ELテレビの中には、55インチという巨大サイズでありながらも最薄部がわずか4.6mmというモデルも存在します。iPhone6Sですら7.1mmですから、普段手にしているスマホよりも薄いです。


ThinkPad X1 Yoga
有機EL 液晶
重量 1.18Kg 1.36Kg

 また、2016年8月に発売されたLenovo ThinkPad X1 Yogaで見ますと、有機ELモデルは液晶モデルより180g軽量です。わずかな差だと感じるかもしれませんが、液晶モデルが1.36Kgなので13%もの軽量化になっています(有機ELモデルは1.18Kg)


将来的には製造コストも安くなる


 液晶と有機ELディスプレイのノートPCを比較すると、ロースペックのノートPCがもう1台買えるほどの価格差があります。現時点では有機ELの方が格段に高いです。


 有機ELがまだ出始めの技術で量産効果が充分に発揮されていないことや、コストの高い製造方法(真空状態の中で生産する必要がある)が主流であることが高コストの原因です。


製造コストが激的に下がる


 ですが、現在研究開発が進められている「印刷方式」と呼ばれる製造方法が確立されれば、今よりも製造コストが43%低下するという話もあります。


 もともとの構造もシンプルですから、将来的には液晶よりも低コストで製造できるようになる可能性があります。


圧倒的高画質


 有機ELディスプレイは、液晶よりも圧倒的高画質です。


有機EL 液晶
応答速度 1ミリ秒以下 5ミリ秒以上
コントラスト比 100万対1 1000:1

 スペック上の数値で見ても、差は歴然としています。
 有機ELディスプレイの映像は、誰が見ても分かるほど美しいです。


 また、有機ELディスプレイはピクセルごとに明るさを調節することが出来るため、「黒」を表現するのが抜群にうまいです。液晶ではわずかに白味がかった「黒」になってしまうところでも、有機ELでは完全な黒を表現できます(ピクセル単位で消灯する)


いつから普及するのか


 現時点では有機ELディスプレイを搭載したノートPCはまだほとんどありません。いつ頃から手に入れやすくなるのでしょうか。


2019年前後が転換点に


 2017年は「有機EL元年」と言われています。
 国内メーカーから続々と有機ELテレビが発売。また年後半に発売となるiPhone8の上位機種にも有機ELディスプレイが搭載されると言われており、有機ELディスプレイにとっては「離陸」の年となります。


2019年前後に有機ELが普及する


 ですが今のところ、どの分野においても有機EL採用製品は高級機種ばかりが目立ちます。まだまだ普及段階に入っているとは言い難い状況です。


 最新技術ですから仕方ない面もありますが、こうした状況の一因として有機ELディスプレイの製造が特定の企業によって独占されているという事情があります。


 現在、世界で有機ELディスプレイを量産しているのはサムスンとLGの二社のみです。国内メーカーから発売された有機ELテレビはすべてLG製のパネルを使用。iPhoneに搭載される有機ELディスプレイはサムスン製です。


 世界中で二社しか製造できないため、有機ELディスプレイの供給に懸念があるという話題は日本経済新聞でも度々報道されています(2017年7月6日朝刊など)


 LGとサムスン自身も生産拡大のために大規模な投資を行っているほか、中国企業もそれを上回る規模で有機ELディスプレイの工場を建設中です。それらが稼働を始めるのが「2019年前後」であるため、ノートPCに有機ELが普及し始めるのも2019年前後になるのではないか、というのが私の予想です。


フォルダブルディスプレイにも注目


 有機ELディスプレイは「折り曲げられる」という魔法のような特性を持たせることも可能です。


フォルダブルスマホ


 こうした特性を活かして、普段はスマホとして使いつつ必要な時はタブレットのように大画面になる「フォルダブルスマホ」という製品の開発が進んでいます。既に展示会などで実機が度々紹介されており、2017年中に発売するという報道もあります。


 ノートPCにもフォルダブルディスプレイを展開したら面白いんじゃないかなあ、というのが私の妄想というか願望です。




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