もう少し様子を見よう
家電量販店に行くと、有機ELテレビが店頭の目立つ場所に展示されているので、有機ELテレビが気になっている人も少なくないでしょう。しかし、今はまだまだ「買い時」ではありません。その理由を詳しく解説していきます。
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選択肢が無い
現在、日本国内で有機ELテレビを販売しているのは韓国のLGだけです。つまり1社独占状態です。韓国製品に抵抗が無い人も増えつつありますが、多くの日本人は「日本メーカー製がいい」と考えるのではないでしょうか。
また、現在販売されているLG製のモデル一覧を見ても、ラインナップに多様性があるとは言い難いです。大型モデルが中心で、最小サイズでも55インチ〜となっているため、狭い日本の住宅事情を考えるとまだまだ普及期に入っているとは言い難い状況です。
価格が高すぎる
55インチでも10万円近辺の値段で購入出来る液晶テレビ。一方、有機ELテレビは価格コムの最安値でも23万円〜となっています。有機ELテレビ1台で、液晶テレビが2台買えます。
有機ELの製造には真空状態にする必要がある工程があるなど、コストを押し上げる要因がたくさんあります。ですが製造工程や原材料の見直しにより、製造コストが激的に下がる目処が立っています。例えば真空状態が必要ない「印刷方式」と呼ばれる方式の導入などがそうです。
韓国メディアが報じたところによれば、スマホ向けの有機ELディスプレイは、既に液晶よりも低コストで製造出来るようになっているそうです。2015年末時点で1940円だった製造コストが、2016年第1四半期には1620円と17%も下落しました。テレビ向けでも月を追うごとにコスト低下が実現しているはずです。
消費電力が大きすぎる
理論的には、液晶よりも有機ELの方が「低消費電力」になります。ですが現在販売されている有機ELテレビは、同サイズの液晶テレビよりも消費電力が大きいです。液晶の200Wに対し、有機ELは320Wと差は決して小さくありません。有機EL関連の技術は日進月歩で進んでいますから、消費電力についても改善が期待されています。
普及に入るのは2017年以降
日本国内で有機ELテレビが普及に入るのは2017年です。なぜかというと、パナソニックが有機ELテレビを国内に投入するからです。パナソニックは既に欧州市場では有機ELテレビの販売を開始していますが、日本市場にも2017年を目処に投入します。
国内の液晶テレビ市場で高いシェアを誇るパナソニックの参入により、潮目が大きく変わります。パナソニックの参入により有機ELテレビは普及期に入るでしょう。
「買い時」は更に数年先
液晶テレビは2004年頃に国内で普及期に入りました。その後、2006年以降から急速に低価格化が進み、2011年に底を打ちました。普及開始から低価格化が始まるまでに約2年、底値を迎えるまでに7年かかっています。
ちなみに、地デジ放送が東名阪で2003年12月開始（全国都道府県所在地は06年末までに）、2011年7月にアナログ放送が終了するという一大イベントがありました。
仮に有機ELテレビの普及の始まりを2017年とすると、2020年頃にピークを迎えるのではないか、と思います。液晶テレビ普及にとっての地デジ移行のように、2020年の東京五輪が有機ELテレビにとって一つの転機になるはずです。自国開催の五輪を新しいテレビで見たい、というニーズも高まりますし、4K放送も五輪にあわせて本格的に始まるというのが理由です。
また、国内の「薄型テレビ」の出荷台数の推移を見ますと、2010年にピークを迎えています。その買い替え需要が2018年〜2020年頃にやってくるため、テレビ自体のニーズが2020年頃に再び高まるという予測があります（参考;一般社団法人 電子情報技術産業協会）
たくさん売れれば製造コストも下がりますから、2020年頃に有機ELテレビの価格が大きく低下し、買い時を迎えるでしょう。
