まだ市販されていないマイクロLEDテレビ
「次世代ディスプレイ」と注目されながらも、まだ市販品が登場していないマイクロLEDテレビ。では、私たちはいつマイクロLEDを手にすることが出来るのでしょうか。大手メディアの報道をもとに解説します。
目次
マイクロLEDの市販品が登場するのはいつ?
マイクロLEDテレビの発売はいつなのか。最新情報をお届けします。
ソニーが1.2億円で発売済み
業務用の受注生産品なので「市販」と言えるかどうか微妙なところですが、2017年には既にソニーがマイクロLEDディスプレイ「CLEDIS」を発売しています。
220型でお値段は1.2億円。一般家庭用の製品ではありません。
2018年4月にオープンした埼玉県川口市立歴史自然資料館への納入実績があり、映像ギャラリーで活躍しているそうです。入館料は無料なので、いち早くマイクロLEDディスプレイを体感してみたい人は足を運んでみてください。
サムスンが発売を表明
ソニーに続き、サムスンも近い内にマイクロLEDテレビの発売を公式に発表しています。
発売時期は2018年後半で、お値段は1台3000万円前後。当初は米国や中東の富裕層をターゲットとして、プロジェクターからの移行を狙います。2018年9月から量産を開始する自社製パネルを採用します。
韓国サムスン電子が液晶とも有機ELとも異なる次世代テレビを2018年後半に発売する。「マイクロ発光ダイオード(LED)」と呼ぶ新型パネルを搭載し、デバイスが自ら発色するため高画質としているが、価格は1台3000万円前後のもようだ。
引用元: サムスン、マイクロLEDテレビ 年内発売へ (日本経済新聞)
3000万円という価格を考えると、残念ながら一般家庭に普及するまでには当分時間が掛かりそうです。
手の届く価格になるのは?買い時は?
では、一般家庭にもマイクロLEDテレビが普及するのはいつになるのか。
過去のディスプレイ競争を振り返ってみると、例えば有機ELは世界初の製品が市販されたのが2007年。ソニーが11型の小型テレビを20万円で発売しています。普及品としてはLGが2015年に日本で55型の有機ELテレビを発売し、当初は64万円以上という価格でした。
有機ELテレビはそこから3年掛けて大幅に値下がりし、ボリュームゾーンは20万円台と液晶テレビと価格面でも比較できる水準に落ち着いています。
マイクロLEDについては初値が3000万円と破格であるため、単純な比較は難しいですが一般家庭にも普及する価格にまで下落するにはどんなに早くとも5年以上は必要になるでしょう。
テレビの製品サイクルを考えると、100万円を切る価格で製品が登場してから2〜3年後が「買い時」となるはずです。
テレビ以外のマイクロLED製品も登場する
マイクロLEDテレビの普及にはまだ時間が掛かりそうですが、テレビ以外のマイクロLEDディスプレイを採用した製品はもう少し早く手に入れられるかもしれません。
Appleがモバイル端末向けに開発中
Appleは2014年にマイクロLED関連のスタートアップを買収し、巨額の資金を投入してマイクロLEDの研究開発を続けていると言われています。
スマートウォッチ(Apple Watch)を始めとするウェアラブル端末への採用を目指しているとの観測もあり、テレビ以外の製品でのマイクロLEDディスプレイの採用事例として先陣を切る可能性があります。一部報道では2019年頃に量産を開始するという話もあり、マイクロLEDテレビよりも早く消費者のもとに届きそうです。
しかし、現在は有機ELディスプレイの4〜6倍の製造コストが掛かっているとのことで、当初は高級機種への採用に留まるのではないでしょうか。
Apple以外にも、前述したソニーやシャープなどもマイクロLEDディスプレイの開発に取り組んでおり、製造コストが下がれば液晶ディスプレイを代替する形で幅広い製品に採用されるでしょう。