業界歴13年の私が解説するESETの「人気の理由」
当サイトを運営して13年、ESETを含め各メーカーの担当者とも直接何度も会って話を聞いている私が、ESETが「売れている」理由を分析します。
目次
ネットで「売れている」ESET
まずは「売れている」と言える根拠を紹介します。
データで見るESETの人気
まずは記事執筆時点での価格コムでのセキュリティソフト人気売れ筋ランキングを見てみます(2020年10月3日時点)
1〜3位をESETが独占しています。過去においても、ESETは価格コムのランキングで常に上位にランクインしています。
続いて、当サイト経由で販売されたセキュリティソフトの販売本数を集計したデータを紹介します(2017年2月〜2020年9月分)
順位 | ブランド | 販売本数 |
---|---|---|
1位 | ESET | 20170本 |
2位 | ノートン | 13764本 |
3位 | スーパーセキュリティ | 5257本 |
4位 | ウイルスバスター | 4203本 |
5位 | カスペルスキー | 3195本 |
当サイトにおいても、販売本数で2位以下に大きな差をつけて最も売れています。一時期はノートンの方が売れていたこともありましたが、基本的にはESETが毎月集計している人気ランキングで1位となることがほとんどです。
実店舗では売れていない
ネットでは「売れている」ESETですが、家電量販店の店頭などでは売れていません。家電量販店などの店頭での販売データをまとめてBCN社のデータでは以下のような販売シェアとなっています(2018〜20年)
- 1位 トレンドマイクロ(ウイルスバスター)
- 2位 シマンテック(ノートン)
- 3位 ソースネクスト(ZEROシリーズ)
上位3社のシェアは約76.3%(2020年)と圧倒的で、ESETは「人気がある」とは言い難いといえます。
ESETが人気の理由
なぜESETはネット販売で人気があるのか、その理由を解説します。
動作が軽い
ESETは動作が軽いというのが最もよく言われる利点です。販売シェアが大きいウイルスバスターやカスペルスキー、ZEROスーパーセキュリティなどと比較しても明らかに「軽い」です。
セキュリティソフトで重要なのは言うまでもなくウイルス検出性能を始めとするセキュリティ性能ですが、普段使用していて不満に感じやすいのがPCの動作への悪影響です。ESETはそうしたセキュリティソフトで不満に感じやすい点をクリア出来ているため支持を得ています。
店頭販売ではこうした「軽さ」を始めとする性能の比較が行われる機会が少ないため、ESETの販売が伸びていません。
3年版の価格が圧倒的に安い
ESETは1年版と3年版の価格がほぼ同じ、つまり3年版の価格が非常に安く設定されています。他社セキュリティソフトの3年版と比較しても、ESETは安いです。
こうした価格の安さも支持を得ている理由の一つと言えます。
なお、ESET関係者の証言によれば永く使い続けてもらうことで収益を得るビジネスモデルを目指しているそうです。他のメーカーの販売戦略責任者から聞いた話では、1年版よりも3年版の方が「更新率」が高いそうなので、ESETが3年版を重視しているのも理解出来ます。
ネットでのプロモーションが成功した
ESETを日本で一躍有名にしたのが、2005年に発生した「価格コム改ざん事件」です。
価格コムのサイトが改ざんされ、サイトにウイルスが仕込まれたサイバー事件ですが、この事件の発生当初からそのウイルスを検知出来たのはNOD32(のちのESET)だけだった、とされています。
今でこそ当たり前の仕組みですが、ESETは当時から「未知ウイルス」を検知するヒューリスティックスキャン機能に力を入れていました。その仕組みが功を奏し、他社に先んじてウイルスを検知した、ということをESETはさかんに宣伝していました(さすがに事件から15年以上が経過した近年は見かけませんが)
価格コム改ざん事件のおかげで「ウイルスに強いESET」というのがネット界隈で定着したのも、ESETの人気を支える要因となっています。ただし、近年のウイルス検出性能テストにおいて、ESETは必ずしも検出性能が「高い」といえる結果を出すことが出来ていません。