ユーティリティ機能が充実 中国のキングソフト社(金山軟件)のアンチウイルスソフトです。金山軟件は中国で最大のソフトウェア会社の一つで、キングソフトインターネットは中国で高いシェアを誇っています。日本では2005年から提供が開始され、一定の知名度があります。 1週間にわたりテストした結果をふまえ、詳しくレビューします。 |
軽さ | ウイルス対策 | 通信保護 | 脆弱性対策 | WEB保護 | ネット銀行保護 | PC盗難対策 | ID/パス管理 | 保護者機能 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
8点 |
no data |
目次
Kingsoft Internet Securityの評価(総評)
セキュリティ性能
肝心要のアンチウイルスの性能に信頼がおけないので、セキュリティ性能は低いと評価せざるを得ません(詳細は後述) セキュリティを重視するのであれば、他のソフトを選ぶのが賢明です。
以前のバージョンではAviraのアンチウイルスエンジンも搭載していましたが、2017版以降ではそれが無くなってしまいました。残念です。
動作の軽さ
起動時間 | WEBサイト 5ページ同時読込 |
アプリ起動 (Excel) | |
---|---|---|---|
キングソフト | 33.71秒 | 6.43秒 | 0.932秒 |
ソフト無し | 29.73秒 | 5.80秒 | 0.726秒 |
13.4% | 10.9% | 28.4% |
動作はとても軽いです。
Core i5-6600のPCで7日間使用しましたが、ストレスを感じる場面は皆無で、快適に使うことが出来ました。よく「軽い」と評価されるESETなどと同じレベルです。
ただし、計測数値にも現れていますが一部動作に悪影響を与えていると感じる場面もありました。
少し気になったのは、ソフトウェア(Excel)の起動に掛かる時間です。「トップクラス」のソフトと比べるとやや劣る計測値となりましたが、体感でもやはりそれは感じざるを得ません。とはいえストレスを感じるようなレベルではありませんが。
PCのスペックを問わず使えるセキュリティソフトです。
広告表示は?
無料版については、会員登録不要で使えます。
有料版は広告表示は一切無し、無料版については広告表示があります(けっこう厄介)
約1時間毎に画面右下、時刻が表示されている付近にバナー広告が表示される他、ウイルスの定義ファイルが更新される度にバナーのポップアップが表示されます。
これらのポップアップが厄介で、Wordなどで文章入力をしている途中に出現すると、文字入力が中断されてしまいます(最前面に出てくる) ネットサーフィン程度ならいいかもしれませんが、文章作成やプログラミングをする人にはかなり厄介です。動画鑑賞も邪魔されます。
また、毎回起動直後にキングソフトが配信するニュースのヘッドラインのポップアップが画面中央に表示されて、これも邪魔に感じるかもしれません。
ただし、ブラウザのHomeをキングソフトのページ(StartHome)に設定することで、無料版でも広告表示が無くなります。私は普段Edgeを使わないのですが、キングソフトをインストールする際にEdgeのHomeが変更されたため、広告表示無しで使うことが出来ました。
各機能の詳細・評価
ウイルス・スパイウェア対策
AV-TEST 2018/3-4月 |
AV-Comparatives | ||
---|---|---|---|
Real-World | Reference | Real-World 2018/3 |
Malware Protect 2018/3 |
不参加 | 不参加 |
2014年を最後に、ウイルス検出性能のテストに参加していません。
公式サイトでは2013年と非常に古いデータを持ち出して「有料ソフトと同等以上の安全性」と宣伝していますが、これは明らかな誤りです。
一番最後に参加したAV-ComparativesのReal-Worldテスト(2014年11月)では、93.5%という非常に悪い結果を残しています。同じテストの結果を遡って見てみると、95.4%(2014/6)や94.6%(2013/6)など、軒並み悪い結果でした。
たまたま良かった成績を持ち出して紹介しているだけです。
以上のことから、キングソフトのウイルス検出性能は現在も高くはないと推察されます。
以前のバージョン(キングソフト2015)は検出性能に定評があるAviraのアンチウイルスエンジンも採用していましたが、2017年版以降からは消えてしまいました。残念です。
危険サイト対策
フィッシング詐欺サイトの対策や、WEBを通じたウイルス感染を防ぐ役割を果たします。
実際にフィッシング詐欺サイトとして報告されている3つのサイトにアクセスしてみましたが、いずれもキングソフトは完全スルーでした。Firefoxのアンチフィッシングはちゃんと反応してくれていましたが、Firefoxの警告を無視すると問題なく閲覧できました(つまりキングソフトが仕事をしていない)
私は2005年にキングソフトが上陸してから、これまでに何度もキングソフトを使用してきましたが、キングソフトのフィッシング詐欺警告に出くわした経験が一度も無いです。
PCの最適化
PCのメンテナンスをする機能が充実しています。
「不要ファイル」という機能では、PCのハードディスク内の不要なファイルをスキャンして見つけ出し、ワンクリックで一括削除できます。私のPCでは実に1.3GBもの容量確保が出来ました。
「システム加速」という怪しげな名前の機能を使うと、PCの動作を改善します。バックグラウンドで動いているアプリケーションなどを見つけ出し、ワンクリックで一括して休止させることで動作を改善するようです。Androidスマホでおなじみの「メモリー解放」のような機能です。
眉唾ものかと思いきや、私が試した限りでは体感出来るほどの効果がありました(ブラウザの動作) 普段からPCの動作に不満を覚えている人にはおすすめです。
パスワード管理
WEBサイトにログインする際に使うIDやパスワードを、キングソフトに保存して管理することが出来ます。登録したログイン情報は、一つのマスターパスワードでまとめて管理することが出来ます。
アバストや有料ソフトの「パスワード管理」機能とは異なり、キングソフトの本機能はただ単にログイン情報を保存しておくだけです。ログインする際に自動で入力することは出来ませんし、本機能に登録するのも全て手動でURLとID・パスワードを入力する必要があります。
ファイルクラッシャー
PCのデータは、ゴミ箱から削除しただけではディスク上に痕跡が残っていて、専用のソフトを使うことで簡単に「完全復元」出来る可能性が高いです(参考:消去したはずのデータが復元できる?!)
消したはずのデータを復元されてしまわないように、完全削除出来る機能です。
実際にいくつかのファイルを「消去」したところ、あまりにも処理が速いので不安になりました。米国国防総省が定めた規格をクリアした「完全消去ソフト」を使ったことがありますが、ちょっとしたファイルでも処理に何十分も掛かるのが当たり前だったので、あまりにも速すぎると感じます。
掛けた時間と復元可能性は反比例するので、キングソフトの本機能は気休め程度のものと思った方がよさそうです。なお、政府・業界規格への適合状況は公表されていません。