1回目の緊急事態宣言で売れたセキュリティソフト
2020年春の、新型コロナウイルス感染拡大そして緊急事態宣言が出される中で、実はセキュリティソフトが平時の2倍以上と大幅に売れ行きが好調でした。当サイトのデータを示しながら、原因の考察とあわせて解説します。
目次
テレワーク推進で「売れた」セキュリティソフト
まずは当サイトでの販売データをお示しします。
2020年春に2倍以上の売れ行きに
当サイトでは、2021年4月・5月にセキュリティソフトの販売本数が平時の2〜3倍と大幅な増加を記録しました。グラフで紹介します(2019年12月〜2020年8月の各月の販売本数合計)
グラフの最も高い山の部分が4・5月です。なお、1回目の緊急事態宣言は20年4月7日に首都圏・京阪神・福岡で発令、16日に全国で拡大。5月21日までに首都圏・北海道を除く地域で解除、25日に全国で解除というスケジュールでした。
セキュリティソフトは通常、新製品の発表が重なる秋(9〜12月)に販売が伸びる傾向がありますが、この時期にこれほど売れ行きが伸びるのは、私がこのサイトを始めた2007年以来初めてのことです。
内訳に関しては、どのセキュリティソフトでも売れ行きが伸びていますが、とりわけウイルスバスター、ノートン、マカフィーのような一般的な知名度の高いブランドの伸び率が高くなっていました。
なお、当サイトは個人ユーザーを対象としたサイト運営を行っています。
以後の緊急事態宣言では・・
2021年1月13日に2回目の緊急事態宣言が首都圏で、3回目の宣言が4月23日に東京・京阪神で出されていますが、「1回目」の時ほどセキュリティソフトの販売は伸びていません。特に波風は感じていない状況です。
2020年春に売れた原因の考察
2020年春、1回目の全国的な緊急事態宣言時にセキュリティソフトの販売が伸びた原因を考察します。
勤め先からの要請でインストールさせられた
1回目の緊急事態宣言は、国全体が右往左往しながらスタートしました。少なくない企業が勤務をテレワークに切り替える中で、業務専用のパソコンを用意することが出来ず、各家庭の私物のPCで凌いだケースも多いと聞きます。
最低限のセキュリティ対策として、セキュリティソフトの導入を要件として指示した企業が多いのではないでしょうか。
普段PCを使っていない人が使い始めた
私のように「毎日」パソコンを開いて何か作業をする人は、実はあまり多くありません。令和元年版「情報通信白書」(総務省)によれば、インターネット利用端末としてPCと答えた人は2018年時点で48.2%と、前年の52.5%から大きく下がっています。
自宅にPCはあるが、普段使っていなかった人がテレワークのために久しぶりに起動したところ、セキュリティソフトのライセンス切れに気づき、新たに購入し直したというケースも少なからずあると思います。また、そもそもセキュリティソフトをインストールしていなかった(Windows Defenderで対応していた)人が、セキュリティ強化のために購入に走った可能性も考えられます。
また、国内のPC市場は縮小傾向にありますが、2020年4月は前年同月比で5.3%、出荷台数が伸びています(電子情報技術産業協会) 新たにPCを購入、買い替えた人がセキュリティソフトを購入したケースが考えられます。
「メジャーなタイトル」の販売が特に伸びていることから、普段のユーザー層よりもPCの習熟度が低い方々のアクセスが増えたか、あるいはセキュリティソフトをよく吟味している時間的余裕が無かったとも考えられます。