注目を集めるクラウドストライクとは
米国などで「次世代型」セキュリティソフトとして注目を集めるクラウドストライク。その強みと特徴や、家庭版の有無を最新情報をもとに解説します。
目次
クラウドストライクとは
まずはクラウドストライクの会社概要を紹介します。
2011年創業の新興セキュリティ企業
クラウドストライク(CrowdStrike)は2011年に設立された新興のセキュリティ企業です。米国カリフォルニア州に本社をかまえます。
同社の創業者の一人であるジョージ・カーツはもともとはマカフィーの最高技術責任者(CTO)でした。ですがマカフィーの製品では、PCを狙う脅威を強固に保護することが難しいという危機感を持ったことから独立しクラウドストライクを創業しています。
時価総額4.2兆円に急成長
クラウドストライクは創業から10年とセキュリティ業界の中でも若い会社と言えますが、米国ナスダック市場での時価総額は約4.2兆円という評価を受けています。
4.2兆円と言われてもピンとこないかもしれませんが、東証一部に上場する日本郵政やみずほフィナンシャルグループと同程度です。ウイルスバスターで知られるトレンドマイクロは時価総額が7200億円なので、同業界の「老舗」遥かに凌駕しています。
クラウドストライクの強みは?
クラウドストライクは何が評価されているのか。既存のセキュリティソフトとの大きな違いをベースに解説します。
ブラックリスト式ではない
従来のセキュリティソフトの多くは、「ブラックリスト式」といって予めウイルスの特徴が記された情報と、実際のファイルを照合してウイルスを検知する仕組みをメインとしています。それに対しクラウドストライクは、プログラムの動き(ふる舞い)からウイルスに特有の動きを検知して脅威を特定していく仕組みです。
ウイルスは世界中で毎秒単位で「新種」が生み出されており、セキュリティ企業が新種を検知して対応するまでの間にタイムラグが生じます。従来のブラックリスト方式では十分に対応することが難しくなっています。
ノートンなど既存のセキュリティでも「ふる舞い検知」の機能をそなえていますが、クラウドストライクはその機能に強みがあること、ふる舞い検知に特化していることからクラウドストライクは「次世代型」のセキュリティ対策と言われています。
クラウド型のシステム
もう一つの特徴は「クラウド型」です。
通常のセキュリティソフトをインストールするとPC内でシステムが作動し、CPUを使って情報を処理するためPCに負荷が掛かり、動作が遅くなる原因となります。例えば私が行ったテストでは、セキュリティソフトをインストールすることによってPCの起動に掛かる時間が10%以上伸びたり、ブラウザの表示が遅くなる事例が数多く確認されています。
それに対しクラウドストライクはわずか22MB(通常のセキュリティソフトの10分の1程度)というプログラムをインストールすれば、あとはクラウド上で処理が行われるためPCの動作を妨げないことに強みがあります。
家庭版の提供は?
日本でも企業や官公庁向けにサービスが提供されているクラウドストライク。では家庭版はどうなのか、最新情報を紹介します。
日本では未提供
クラウドストライクは企業向けに、従業員がテレワークをする際のセキュリティ対策として「CrowdStrike FalconPrevent for Home Use」を提供しています。が、こちらは主に企業向けに提供されているもので、家電量販店に並んでいるウイルスバスターやノートンのような「家庭版」とは意味合いが異なります。
現状、クラウドストライクは家庭ユーザーを対象としていないと言えます。