Windows Defenderの進化がもたらす影響

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Windows Defenderというビッグウェーブ


Windows Defenderの操作画面


 「Windowsには必ずセキュリティソフトが必要」という常識を変えつつあるのが、Windowsに標準で組み込まれているWindows Defenderというウイルス対策機能です。進歩を続けるWindows Defenderはセキュリティソフト業界にどのような変化をもたらすのか、業界関係者への取材をふまえて今後を予測します。






現在のWindows Defender


 まずは現在のWindows Defenderの状況を紹介します。


検出性能が大幅に向上


 Windows Defenderはこの数年の間に、ウイルス検出性能を格段に高めています。


 かつてはAV-TESTやAV-Comparativesのテストで90%台前半というとても低いスコアを出すことが多かったものの、この数年はテスト時期によっては一部の有料セキュリティソフトを上回るスコアを出すこともあります。


セキュリティソフトは不要?


 では、セキュリティソフトを自分でインストールする必要はもう無いのか。


 2017年2月に書いた「セキュリティソフトはもう必要無いという議論を掘り下げてみる」という記事では「今のところ『まだ』必要」という結論に至りましたが、2018年現在の私の考えも変わっていません。


 性能が向上したとはいえ、最も検出率が高いソフトと比べるとまだ1%以上低いスコアです。この1%という数字はわずかな差に見えますが、世界中で「1.5秒に1つ」というペースで新種が生み出される膨大なコンピューターウイルスの数を考えると、少しでも高い方が良いです。


 「1.5秒に1種」で計算すると、1日あたり57600種。検出率が99.99%であれば取り逃すのはわずか6種ですが、それが99.00%になると576種に増え、差は570種。年間で20.5万種の差になります。


 Windows Defenderより検出率が低い「有料」セキュリティソフトは既にその存在価値がゼロに等しいということは言うまでもありませんが、「セキュリティソフトは不要」と断言するにはまだ早いと思います。


ウイルス検出率はとても大事


Windows Defenderによる今後の影響


 とはいえ、膨大な情報収集能力と強力な開発能力があるMicrosoft社が力を入れて強化しているWindows Defenderですから、今後もその成長は続いていくでしょう。その先に起こる変化を考えてみます。


無料ウイルス対策ソフトに大打撃


無料ウイルス対策ソフトは厳しい


 Windows Defenderが進化すると真っ先にその存在価値が揺らぐのは「無料ウイルス対策ソフト」です。


 広告で収益を得るものや、有料ソフトの購入に繋げる目的で提供されているものがありますが、機能は「アンチウイルス(マルウェア)」のみというのが基本で、Windows Defenderと同等であるためです。
 Windows Defenderの検出性能が向上すれば、わざわざ無料ウイルス対策ソフトをインストールする必要性が無くなります。


 実際、「無料ウイルス対策ソフト」を提供している某社の日本法人の方からお話を伺った際に、Windows Defenderの性能向上を不安視しているといった感じの話をチラッと耳にしたことがあります。


新しい製品ジャンルへのシフト


 有料のセキュリティソフトも安泰ではありません。Windows Defenderの性能が向上すれば、その価値が相対的に低下するため、今と同じ値段では売りにくくなることが予想されます。


 そこで各社が力を入れているのが、現在の「アンチウイルス」を中心としたセキュリティソフトではない新たなジャンルの開拓です。


 その最有力候補と目されているのが「VPN」「パスワード管理」の2ジャンルです。


VPNの解説


 私は何社かのセキュリティソフト会社の方と定期的な交流がありますが、この2ジャンルが話題にのぼることがとても増えてきています。また、特にVPNについてはこの2年ほどで大手メーカーから新製品が相次いで発売され、家電量販店の店頭でも比較的広い売り場が確保され、「力が入っているなあ」と感じることが多いです。


 「パスワード管理」についても大手が続々と参入したものの、いずれも今のところ不発に終わっています(無料アプリやブラウザの機能で代用できますからね)


「併用型」が増えていく


 一つのPCにセキュリティソフトは一つまで、というのが常識でしたが、最近は他のセキュリティソフトと「共存」できるセキュリティソフトが登場しています。


 純日本製を売りにしているFFRI yaraiハミングヘッズDepがそうです。


 いずれも振る舞い検知に特化したソフトで、定義ファイルに頼らないセキュリティ対策を目指しています(企業体力的に膨大な定義ファイルを作れないがための策でしょうが)


 共存できるタイプのセキュリティソフトはもちろんWindows Defenderと組み合わせて使うことも可能なので、「Windows Defenderだけでは少し不安・・」という人に訴求しやすい商品だと思います。需要・供給ともに増加していくと思います。


法人用は安定成長


法人用セキュリティソフトは安泰


 「ウイルスバスター」のトレンドマイクロ社(東証一部)の決算資料(2017年第四四半期)を見ると、前年度比で個人向けが4%増なのに対し、企業向けは14%増となっています。2017年第一〜第三四半期も同様に企業向けの伸びが大きく、個人向けは期によっては前年割れしています。


 2017年Q3資料には「北米地域の個人向けビジネスは減少続く」、2017Q1資料にも「個人向けビジネスの外部環境は依然厳しい」との記載があり、個人向けの販売の苦戦を認識していると受け取れます。


 一方で企業向けの売上は順調に伸びており、そしてWindows Defenderでは企業のセキュリティソリューションへのニーズを充分に満たすことが出来ないことなどをふまえると、今後も安定して成長が見込める分野であることが分かります。




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