仮想通貨のマイニングをさせるウイルスとは
大幅な値上がりで注目を集める仮想通貨。そんな仮想通貨のシステムを悪用して、他人のPCを使ってお金儲けを企む連中が現れています。
目次
そもそも仮想通貨の「マイニング」とは?
まずは仮想通貨のマイニング(採掘)について簡単に解説します。
システム維持に協力すると儲かる仕組み
ビットコインを始めとする仮想通貨(暗号通貨)は、絶えず行われる取引を「ブロックチェーン」と呼ばれる技術を使って記録・管理しています。
このブロックチェーンという仕組みを維持するには、膨大な量の計算をする必要があるのですが、それを手伝うのが「マイニング」(採掘)という行為です。
マイニングはいわば仮想通貨を維持するのに必要な仕事なので、マイニングに協力する人には報酬として新たな仮想通貨が与えられます。
マイニング自体は違法ではない
マイニング自体は決して違法な行為ではありません。GMO、DMM、SBIホールディングスを始めとする日本を代表するIT企業が続々と「マイニング」を事業として展開することを表明しています。
もちろん、個人で自宅のPCを使ってマイニングするのも合法です。仮想通貨の口座を開設(「ウォレット」と呼ばれるソフトをインストールするだけ)し、マイニング用のソフトを使えば誰でもマイニング出来ます。
多額の電気代と設備投資が掛かる
マイニングの問題点としては、ランニングコストとして多額の電気代が掛かる点が挙げられます。
PCのCPUやGPUを使って次々に情報を処理していくため、言ってみれば常にPCに負荷が掛かった状態で動き続けるようなものです。マイニングに参入する日本の大手IT企業も、電気代が高い日本国内を避けて北欧などに拠点を置くとしています。
それに加え、効率良くマイニングをするには設備投資も必要です。マイニングに使うGPU(グラフィックボード)は一つ数万円以上します。
ちなみに、日本の一般家庭にあるようなPCでマイニングをしても、電気代だけで収支はマイナスになるというのが定説です。高性能なGPUを用意すれば儲かるとか何とか。
人のPCで勝手にマイニングするウイルスの脅威
多額の電気代と設備投資が掛かるマイニング。でも他人のPCにやってもらえば、電気代も設備投資も無料というわけで、マイニングウイルスというものが拡がっています。
どんな被害があるの?
感染すると、PCで勝手にマイニングが始まります。
マイニングはPCに高い負荷が掛かるため、以下のような症状や害が出ます。
- 電気代が高くなる
- PCの寿命が短くなる
- PCの動作が重くなる
- ファンの音がうるさくなる
ブラウザ上で無断マイニングするタイプも
ウイルスとは若干ニュアンスが異なりますが、サイト上に埋め込んでアクセスしてきた人にマイニングを(こっそり)やってもらうタイプもあります。
javascriptを使ったもので、サイトにアクセスしている人がサイトを閲覧している間だけ、マイニングさせるというものです。
トレンドマイクロによれば、閲覧者に告知せずマイニングさせるサイト数は国内だけで1749件(2017年7〜9月)確認されており、直前の期間と比べて12倍に急増しています。
サイトのアクセス数・滞在時間や設定などにもよりますが、「2週間/9万PV」で700円儲かったと公表している人もいます。当サイトでやれば月に5万円くらい儲かりそうな気がしますが、やらないので安心してください(参考記事:2週間に渡ってみなさんのPCで勝手に仮想通貨をマイニングしていました。)
ちなみに、こうしたスクリプトはセキュリティソフトで「ウイルス」と検知されることが多いようです。ノートンをインストールしている私のPCでは、以下のような警告が表示されてアクセスをブロックしてくれました。
感染を防ぐには?
自分のPCが他人のお金儲けに使われたら嫌ですよね。最後に対策をご紹介します。
感染させないために
通常のウイルスへの対策と何ら変わりません。
多くはセキュリティソフトで検知できるので、セキュリティソフトが有効であることを確認の上、怪しいサイトにアクセスしない・怪しいメールは開かないといった基本的なことを守ってください。
感染していないか確認するには?
上でも被害内容として紹介しましたが、一番顕著なのは「CPUの負荷が高まる」ということです。
タスクマネージャーを開いて、CPUの使用率が異常に高い場合はマイニングウイルスの感染が疑われます。
CPU使用率が「100%」になっていれば分かりやすいですが、ウイルスを拡散している人の側でCPUの使用率を自由に設定できるため、例えば20%くらいの使用率に設定されていたら分かりにくいです。