関係者への取材で見えてきた呆れる実態
美容・健康関連のサイトは魑魅魍魎が跋扈する闇の世界です。関係者から聞いた話を交えながら、その実態を明るみにしたいと思います。
目次
お金しか見えていないサイト運営者
私が複数の関係者から聞いた話や、独自に調査した結果をを紹介していきます。
超高額なアフィリエイト報酬の実情
まず、健康・美容関連の商品はアフィリエイトの報酬がとても高いという前提があります。
商品 | アフィリエイト報酬 | 販売単価 |
---|---|---|
ホワイトニング歯磨き | 4000円 | 4287円 |
頭皮ケア | 2700円 | 4190円 |
漢方系サプリ | 10000円 | 7800円 |
ブルーベリーサプリ | 5000円 | 1058円 |
上図は某大手ASP(アフィリエイトサービスの提供会社)に掲載されている、健康・美容関連の案件からテキトーに抽出してきたものです。
中には販売価格を上回るアフィリエイト報酬が発生するものもありますが、ここには「初回限定価格」であったり「定期購入」(一度注文すると定期的に届く)といったカラクリがあります。
定期購入については、「解約できない」とか「知らぬ間に定期購入での申込みになっていた」といったトラブル事例が多発しており、国民生活センターも注意喚起を行っています。
消費者がホームページやSNS等で「健康に良い」「ダイエット効果あり」「バストアップ効果あり」や「有名女優も使用」とうたう広告を見て、商品を通常価格より安い価格で購入したところ、実際は定期購入契約だったというトラブルが急増しています。
引用元:相談急増!「お試し」のつもりが定期購入に!?(国民生活センター)
話が横道に逸れましたが、健康・美容関連のアフィリエイトは報酬単価がとても高いため、アフィリエイト関連の本などでは「稼げるジャンル」として紹介されることが多いです。
そもそも口コミ自体が全て創作というケースも
こうしたアフィリエイト報酬の単価が高い商品は、その商品名で検索すると個人が作成した「紹介サイト」のようなものが無数に出てきます。
中にはもっともらしい写真を掲載したり、「口コミ」のようなものを載せているところも多いです。
しかし、私がある関係者(ASPの営業担当)から聞いた話によると、こうした美容・健康関連のサイトの作成者は実際に商品を使ったことが無い事例も多く、また「口コミ」もクラウドソーシングなどで募集したライターが「一人何役」で量産している例が多いそうです。
実際、大手クラウドソーシングサイトではこのような募集が行われています。
ネット上の口コミやTwitterなどを見て、指定商品の「口コミ」を書いてくださいという依頼です。これで口コミと言えるのでしょうか?
そもそも、「口コミ」と一緒に商品を紹介しているサイトには、口コミを投稿できるシステムすら無いことも多いです。その口コミ、どこから持ってきたんだ?って話です。
サイト運営者はオッサンが多い
明らかに女性向けの美容関連商品(サプリや化粧品)のサイトでも、実はオッサンが一人で運営している事例が多いと、別の「関係者」が話してくれました。
「ハンドクリームで手がきれいになったとか写真載せてるけど、実は全然関係無い人の手の写真だったりするんですよ」という驚きの事実もあるそうです。
SNSの広告にも要注意
個人的に衝撃だったのが、SNSの広告を使ったスキームです。
大手のSNSはタイムラインなどに「広告」を出稿することが出来ます。ここに美容・健康関連の商品の紹介サイトを広告として流し、ユーザーを集めてアフィリエイト報酬を得ている人がいるそうです。
驚きなのはその規模。個人で年間に億単位の広告費を掛けて集客し、1割程度の粗利を得ている人もいるとか。2億掛けて利益が2千万、とかそんな世界だそうです。一人のユーザーを集客するのに数百円掛かりますから、すごい成約率と高い報酬額が為せるワザですね。
トップクラスの規模でやっている人には、大手SNS側が専任の営業担当を付けている例もあり、SNS側にとっても重要な収益源として認識されているようです(皆さんも使っているあのSNSの話です)
ちゃんとした口コミサイトにも要注意
見るからにアフィリエイト報酬目的のサイトであれば分かりやすいですが、多くの人から口コミを集めているようなサイトについても注意が必要です。
私の経験
私自身、この「セキュリティソフト比較サイト」でセキュリティソフトの口コミを募集していますが、ある一つのソフトに関して「関係者」からの投稿と見られる投稿が相次いだ時期があり、辟易した経験があります(IPアドレスが被っているものは不掲載としました)
売れない商品を抱えているメーカーの中には、平気でこのようなことをする輩もいます。
Amazonレビューの汚染
また、これは別のセキュリティソフト(日本の上場企業の製品)の例ですが、Amazonレビューに関係者からの投稿と認めざるを得ない投稿が12件も並んだことがあります。発売直後でテレビCMも流していた頃の話なので、広告代理店が動いたのでしょうか。
詳しくは以下の記事で説明しています。
まとめ
こうした問題はまだ大きな騒ぎにはなっていませんが、少しずつ社会で問題として認知されつつあります。消費者を欺くような行為は絶対に許されるものではありません。少しでも騙される人が減ってほしいという思いでこの記事を書きました。