「必要無くなった」無料ウイルス対策ソフト
「2019年現在パソコンにセキュリティソフトは不必要だと言える理由」では主に有料セキュリティソフトに焦点を当てて解説しましたが、無料セキュリティソフトにいたっては存在価値がもはや存在しないと言える状況があります。その根拠をデータに基づいて紹介します。
目次
Windows標準のウイルス対策機能の進化
無料ウイルス対策が必要無いと言える背景に、Windowsに標準で組み込まれているウイルス対策機能の存在があります。
実はウイルス対策機能が標準装備
まだご存じない人も少なくないようですが、Windowsには標準機能としてWindows Defenderというウイルス対策機能が組み込まれています。かつては専用のソフトを自分でインストールする必要がありましたが、Windows8以降は標準装備となっています。
ユーザーがセキュリティソフトをインストールしていない場合は、自動的にこちらの保護機能が働くようになっています。
かつては低性能だったが、今は・・
かつてのWindows Defenderは、ウイルス検出性能が非常に低く、セキュリティ対策として十分な性能を持っていませんでした。
例えば2016年のテストではウイルスバスターやノートンが「100%」という結果を出している性能試験(AV-TEST)で88.5%という結果だったり、あるいはAV-Comparativesのテストではメジャーなソフトが軒並み98%以上の成績を残す中、94.4%という結果です。
しかし、その性能は年々向上を続け、2019年時点の検出性能テストでは多くの有料・無料ウイルス対策ソフトを上回る結果となっています。セキュリティ対策の基本であるウイルス対策機能に関しては、Windows Defenderは優秀であると言えます。
一部無料ウイルス対策ソフトより高性能です
先に少し触れましたが、Windows Defenderの性能は多くの有料・無料セキュリティソフトよりも「高い」です。
有料のセキュリティソフトであればウイルス対策以外にも様々な機能があり、直ちにセキュリティ性能全体としてWindows Defenderの評価を下回るとは言えません。しかし、無料ウイルス対策ソフトの場合は機能がほぼウイルス対策機能に限定されており、Windows Defenderと遜色ありません。セキュリティ性能全体としての評価はウイルス検出性能同士の比較となり、検出性能が低ければセキュリティ性能も低いと言えます。
現実に2019年時点のデータではAVGやavast、またPandaなどの一部の無料セキュリティソフトがWindows Defenderを下回る検出性能となっており、それらを使う意義は薄いと言えるでしょう。
メーカー側の認識も
実は以前、あるセキュリティソフトメーカーの日本法人の担当者とお会いした際の話を紹介して終わります。
危機感を顕にしていた某無料ソフトメーカー
ある無料ウイルス対策ソフト大手メーカーの担当者と2017年にお会いした際に、Windows Defenderが自社のビジネスにとって脅威となりつつあるというお話を聞く機会がありました。当時は日本のPCユーザーの間ではWindows Defenderに切り替える動きはまだ活発化していませんでしたが、既に欧米ではそうした動きがあったようです。
また、無料ソフト大手のavastが同業大手のAVGを2016年に買収し、再編の動きもありました。
同じ時期にいくつかの有料ソフトのメーカーの販売担当者とも何人かお会いしてお話を聞いていましたが、有料メーカーからは危機感を感じ取ることは出来ませんでした。こちらからストレートに「Windows Defenderでセキュリティソフトが必要無くなるのでは?と聞いたこともありますが、「いやぁ、それは当分無いでしょう〜」といった回答でした。
それから時を経て、無料ソフトだけでなく有料ソフトにとっても脅威となりうる程に性能を高めつつあるWindows Defenderに今後も注目していきたいです。