Facebookが起こした個人情報流出事件
2018年3月、SNS大手のFacebookから「5000万人分」という膨大な数の個人情報が流出したことが発覚しました。その事件の背景を分かりやすく解説したいと思います。
目次
事件の概要
まずは事件の概要を分かりやすく説明します。
流出の経緯
Facebookには外部の開発した「アプリ」をユーザーが利用できる仕組みがあります。この仕組みが悪用され、大量の個人情報が流出しました。
英国・ケンブリッジ大の心理学者、アレクサンドル・コーガン博士が作成した「性格分析」アプリを使って、英国のビッグデータ解析会社「ケンブリッジ・アナリティカ」が個人情報を収集しました。
Facebookのアプリには、アプリを利用した人の様々な情報を収集する「権限」が与えられます。この権限を悪用して個人情報の収集が行われました。
被害の規模は?
このアプリを利用したのは27万人に過ぎませんが、このアプリの権限で利用者の「友人」の情報を収集することが出来る設定になっていたため、「5000万人分」という膨大な個人情報が流出してしまいました。
「流出」だけではない大問題も
「流出」に関わったケンブリッジ・アナリティカ社は、ビッグデータを駆使して政治的キャンペーンにも関与しています。英国のEU離脱を諮る「ブレグジット」や、トランプ大統領が勝利した米国大統領選でもトランプ陣営と契約していた会社です。
米大統領選でトランプ陣営が契約した英データ会社が、フェイスブック利用者5000万人以上の個人情報を収集したとの新聞報道だ。
引用元:フェイスブック個人情報流出、ユーザー離れ加速か(ロイター)
個人情報が不正な方法で収集されたことも大きな問題ですが、こうして収集された個人情報が政治キャンペーンに「悪用」され、民主主義が歪められた恐れがあるという点にも批判が集まっています。
Facebookについては先の米国大統領選で「フェイクニュース」を拡散する役割を果たしてしまった点でも批判を受けていますが、今回の騒動が業績低迷に追い討ちを駆ける恐れがある、とロイターが報じています。
SNSを使う際の注意点
今回の事件から得られる教訓は。
表示される広告に要注意
FacebookなどSNSで表示される広告は、ターゲットを細かく絞って出稿することが出来ます。趣味嗜好や属性(年齢性別居住地など)を指定して配信することで、より高い広告効果が期待できると注目を集めています。
つまり、あなたのFacebookのタイムラインに表示されている広告は、あなたが興味を持つ可能性が高いと「Facebookのシステムが」判断した広告です。
中には、以前から問題になっている「フェイクニュース」や特定の主義主張に基づく「広告」が配信されることもあります。くれぐれも、そのような広告に惑わされぬよう注意してください。
また、以下の記事で詳しく説明していますが、健康食品や美容関連の広告は何の根拠もない「ウソ」が多いので注意してください。
無闇に個人情報を晒さない
言うまでもないことですが、無闇に何でもSNSにアップしない方がいいです。あなたがアップした情報はビッグデータとして蓄積され、それがSNS運営会社にとって重要な資産の一つになっています。
また、最近はSNSから情報を収集してストーカー行為を行う事例も増えています。投稿する前に、それが「見られてもいい情報」なのか一度立ち止まって考えるクセを付けましょう。
「アプリ」に注意
今回の流出事件でも問題になったように、FacebookやTwitterにはサイト上で使える「アプリ」があります。使ったことがある人も多いでしょう。
こうしたアプリには、あなたのSNSアカウントを「好き勝手」できる権限が与えられています。与えられているというか、ユーザー自ら承認することで権限が付与されます。
タイムラインを読み込まれる・書き込まれる(投稿される)くらいならかわいいものですが、プロフィールを更新されたり、登録済みのメールアドレスなどの個人情報の取得、勝手にDMの送信をするものまであります。
権限があれば何でも出来てしまうので、利用開始時の説明文はしっかりと読んで理解し、理解できない場合は利用すべきではありません。
既に連携しているアプリについては、SNSにログインした状態で以下のページにアクセスすると確認・削除できます。
・Facebook アプリ設定
・Twitter 設定