ネットの闇 ダークウェブとは
最近耳にする機会が増えた「ダークウェブ」という言葉。実は誰でも簡単に利用することが出来るのですが、ここには様々な問題が潜んでいます。
というわけで、そもそもダークウェブとは何なのかという初歩的な疑問から、利用の仕方、社会的な問題点などを解説していきます。
目次
そもそもダークウェブとは何なのか

皆さんが普段、ChromeやFirefoxといった一般的なブラウザで利用しているのは「サーフェイスウェブ」といいます。それに対し、ダークウェブは一般的なブラウザではアクセスできない、いわば闇のインターネットです。
一般的なブラウザでアクセスすることはできず、通信が暗号化された特殊なブラウザを使うことで利用することが出来ます。
ダークウェブの必要性とメリット
では、なぜそんなものが存在しているのでしょうか。
ダークウェブにアクセスするために使う「Tor(トーア)」というネットワークは、FBIや日本の警察でも解析が困難と言われるほど、高度な暗号化が施された通信が可能です。当初はアメリカ海軍の関連機関が開発に参加したこともあり、軍事目的の安全な通信を実現するという目的で生み出されたものでした。

この秘匿性を活かして、言論が厳しく統制されている国で民主化活動家やジャーナリストが、国家権力と戦うための武器として使っています。また、「ウィキリークス」でもこのTorが活用され、国家をはじめ強大な権力の不正を暴くための道具としても活用されています。
ダークウェブは誰でも利用可能 使い方は?
「Tor Browser」と呼ばれるソフトをインストールすることで、誰でも簡単にTorに接続し、ダークウェブを閲覧することができます。

Tor BrowserはFirefoxをベースに開発された、Tor通信用のブラウザです。見た目は一般的なブラウザとほぼ一緒ですが、Torネットワークを介した通信が可能になります。難しい設定は必要ありません。
また、ダークウェブに限らず皆さんが普段閲覧しているウェブサイトもTorネットワークを介して閲覧することが可能です。プライバシー保護に役立ちます。
ダークウェブの何が問題なのか
一般的なウェブであれば、アクセスログなどを警察が解析すれば簡単にユーザーを特定することが出来ます。爆破予告なども、早ければその日のうちに犯人を特定できます。
しかし、Torを使った通信は高度に暗号化されているため、ユーザーの特定が非常に困難です。この特性を悪用して犯罪行為を繰り返す輩が後を絶たないことから、世界各国の警察機関がTorを問題視しています。
薬物売買の温床

ダークウェブに存在する「ある掲示板」を見ますと、そこには薬物売買を持ちかける書き込みがたくさん投稿されています。日本人向けの、日本語での書き込みです。「アングラ」と呼ばれていた頃の2ちゃんねるの比ではない光景です。
児童ポルノのやり取りに悪用
Torネットワークの通信量のうち、8割が児童ポルノサイトに繋がっていたと米国メディアが報じています。日本を含む多くの国では児童ポルノの所持が認められていないので、「足が付かない」とされているTorを使ってやり取りが行われている現状があります。
匿名化は完璧ではない

Torを使えば何をしても捕まらないんだ。
そう思ってしまった人もいるかもしれません。でも、その認識は誤りです。
Torの暗号化が破られたかどうか、という点については現時点で各国の警察機関からの発表はありません(手の内を明かすことになりますからね) ですが、Torを悪用した犯罪の容疑者を逮捕した事例は、既に国内外でいくつも報告されています。
その多くはTor自体の解析が摘発の端緒ではなく、それ以外の部分での捜査による成果であると見られますが、警察が本気を出せば捕まえられるという点に変わりありません。
また、Torを使った通信はプロバイダー側で把握されています(通信の中身までは解析できません) なので、あなたが仮にTorを使った場合、Torを使ってネットを利用したという事実はプロバイダーに知れることになります。接続時間などを照合することで、状況証拠となる可能性も考えられます。
セキュリティ的にはどうなのか

Torを使ってダークウェブを閲覧すること自体は、何の違法性もありません。この記事を読んで、使ってみたいと思った人もいると思います。
でも、セキュリティの観点から見て、無闇にダークウェブを閲覧するのはやめたほうがいいと言わざるを得ません。
ダークウェブに存在するサイトは、一般のウェブのそれと比べてウイルス感染などのリスクが格段に高い、というのがその理由です。ダークウェブ上のサイトの2割がハッキングされている、という報告もあります。
どうしてもダークウェブを覗いてみたいのであれば、流出するような情報を保存していない、普段使いではないPCを用意して利用することを強くおすすめします。
1万円のスティックPCを買って「おもちゃ」にしてみてはいかがでしょうか。