円安の影響はセキュリティソフトにも
2022年3月から10月までに約30%と急速に進行した円安。その影響はセキュリティソフトにも及んでいます。セキュリティソフトの値上げの現状と、値上がりしている背景を解説します。
円安の影響で値上げが相次ぐセキュリティソフト
円安の影響を受けてセキュリティソフトが値上がりしています。その現状と背景を解説します。
セキュリティソフトの値上げの状況
2022年9月にマカフィーが公式ストアでの定価を値上げしました。
値上げ前 | 値上げ後 | 値上げ幅 | |
---|---|---|---|
1年版 | 9146円 | 10980円 | 20.1% |
3年版 | 23680円 | 26680円 | 12.7% |
2022年9月に発表された値上げ前後の「定価」の比較です。実際の販売価格には割引が適用されている場合もあるため、販売価格と異なる場合があります。
また、公式には値上げは発表されていませんがノートン(360デラックス1年3台版)の価格.com最安値も2020年10月22日とくらべて2022年10月22日の価格は7.5%値上がりしています。
値上がりしている理由
値上げの理由は各社公表していませんが、背景にある事情としては円安や国内外での物価高の影響が大きいとみられます。
ノートンやマカフィーはいずれもアメリカ企業の製品です。ウイルスバスターは日本に本社を置くトレンドマイクロ社の製品ですが、主な開発拠点は海外にあります。その他の主要なセキュリティソフトも基本的には海外製品であるため、セキュリティソフトは基本的に「輸入物」であり、円安による影響を受けやすいと言えます。
値上げへの対策は?
円安の進行幅と比較して、セキュリティソフトの値上げ幅はまだ小さいと言える状況です。今後円安ペースが落ち着いたり、一旦円高方向に振れることがあったとしてもセキュリティソフトの価格は高止まりが長期化する可能性も考えられます(転嫁できていないコストを長期間にわたり回収するため) また、一段と値上がりする可能性も低くないと言えます。また、一度値上げしたものを値下げするというのは業界のこれまでの流れをふまえると考えづらいです。
値上げへの対策としては、セキュリティソフトを購入する際に「3年版」など長期間使えるものを購入しておくと将来のコスト増の影響を低減することが出来ます。「更新不要」というセキュリティソフトもあります。
円安以外の事情も影響している
私は2007年から当サイトを運営していますが、セキュリティソフトは実は円安になる以前から長期的に値上げされる傾向にありました。
2014〜15年頃にとある有名セキュリティソフトが大幅な値上げに踏み切ったのですが、当時そのメーカーの日本法人のマーケティング部門の方から直接聞いた話としては「本国からの強い要請で」とのことでした。「こんな価格じゃ売れなくなるって、反対したんですけどね」とも話してくれました。
日本では物やサービスの値段が変わらないことが当たり前であるという思考が染み付いていますが、米国など海外では物の値段は年々上がっていくことが当然とされているようです。そうした海外にある「本国」の経営者の方針でセキュリティソフトの値段は長期的に値上がりする傾向があると言えます。