激安の「海外版セキュリティソフト」の問題点は?
Amazonやヤフオクなどで、「海外版」「アジア版」と称したセキュリティソフトが安い値段で販売されています。こうした海外版を買うデメリットや問題点を、メーカーへの取材もふまえて解説します。
目次
国内版より安い海外版
まずは「海外版」が安く売られている実態について簡単に解説します。
安さの理由は?
セキュリティソフトは販売されている国が違っても、機能は基本的に変わりません。一方、価格は現地の物価などを勘案して、国によって大きな差が付けられています。
例えばノートンの1年1台版は日本のメーカー公式サイトでは3488円という価格ですが、中国本土での同等製品の価格は1623円(99元:16.4円/元で計算)です。
「海外版」として売られているセキュリティソフトの多くは、価格の安い中国版(香港版)と見られます。安い地域から輸入して日本国内で販売していることが、安さの秘密というわけです。
海外版を買うデメリットと問題点
安く買える方が良いというのは言うまでもないことですが、問題点は無いのでしょうか。メーカーへの取材もふまえて問題点を指摘します。
サポートを受けられない
海外版のセキュリティソフトを購入した場合、メーカーによる日本語でのサポート(テクニカルサポート)を受けることが一切できません。ウイルスバスターのトレンドマイクロ社に念のため確認したところ「日本語によるサポートも提供は行っておりません。」との回答でした。ESETについても公式サイトで同様の注意喚起がされています。
Amazonで売られている「海外版」セキュリティソフトを見ると、「無期限のアフターサポート付き」などと説明されていることもありますが、これは販売者によるサポートを指しており、メーカーによるサポートではありません。
ソフトを使っていて何かトラブルが起きたとしても、解決は自己責任となります。それなら同様にサポートが無い「無料セキュリティソフト」で充分ではないでしょうか。
日本語で使えないものもある
一部「日本語化」できるソフトもあるようですが、基本的に中国語・英語での利用となります。それらの言語を使いこなせる人であれば特に支障は無いかと思いますが、日本語を母国語とする人にとっては不便に感じるでしょう。
インストール手順が面倒
日本語化出来るソフトの場合、日本語化する作業を自分で行う必要があります。
日本語化用のファイルをダウンロードし、セキュリティソフトのプログラムが入ったファイルにコピーするなどの作業が必要となります。
購入しても利用できない場合がある
ネット上の投稿を見ますと、こうした海外版を購入した人の中に「インストールできなかった」とか「途中で使えなくなった」と投稿している人がチラホラといます。
悪質な販売者の場合、不正なプロダクトキーを販売しているケースもあるようです。特にオークションなどでプロダクトキーのみを販売している業者は避けるべきです(最近はあまり見かけませんが)
利用規約違反になる
他国向けの製品を日本国内で使用することは、利用規約違反になる場合があります。例えばトレンドマイクロでは公式サイトで以下のような注意喚起を行っています。
トレンドマイクロでは正規に販売された製品以外は認めておりません。(中略)
使用不可能なもの
・他国で購入・販売されたウイルスバスター製品
・トレンドマイクロより出荷されていない非正規パッケージと非正規シリアル
ネット通販に限らず、海外旅行先で買ったものを日本国内で使うのもダメっぽいですね。
結論:海外版は避けるべし
国内正規版よりも安いとはいえ、それでも千円二千円という出費になるわけです。リスクを考えると、節約したいのであれば最初から無料セキュリティソフトを使った方が良いでしょう。
私の記憶によれば2012〜14年ごろが「海外版」転売のピークで、現在はその頃と比べて大分目立たなくなっていますが、まだ一部で販売が続いているようなので注意喚起のためにこの記事を書きました(記事のテーマとしてはとっくに「旬」を過ぎていますね、、)