実在の警察署から着信する「詐欺電話」という新手口
実在する警察署の番号から「詐欺電話」が着信するという事件が相次いでいます。どのような手口なのか、対策と合わせて解説します。
目次
新宿警察署の本物の番号から詐欺電話が多発
2025年3月に話題になったニュースです。
実在する警視庁新宿警察署の代表電話番号から「詐欺電話」を着信したという相談がわずか3日間の間に400件以上も報告され、新手の詐欺の手口として注目を集めています。
新宿警察署のほかにも、愛知県警本部の代表番号を偽装した詐欺電話も報告されており、被害の拡大が懸念されています。
これまでの特殊詐欺(オレオレ詐欺)とは異なり、公的機関の電話番号から電話を着信しているため、日頃から詐欺に注意している人でも被害に遭いやすいと懸念されています。
発信者番号スプーフィングとは?
このような詐欺の手口を発信者番号スプーフィングと呼びます。
発信者番号表示機能を悪用した手口
発信者番号スプーフィングは発信者番号表示機能を悪用した詐欺の手口です。実在する公的機関などの電話番号を「偽装」することで、相手に安心感を与え詐欺の「成功率」を高める手口です。
電話番号を偽装されてしまった警視庁では「仕組みは分からない」と発表していますが、例えば企業などである部署からその企業の代表電話の番号で発信する仕組みがあります。例えば採用活動で応募者に電話を掛ける際や、コールセンターなどで利用されている仕組みです。
このような仕組みが何らかの形で悪用され、警察署や県警本部の番号に偽装されたとみられます。
国際電話を国内番号に偽装する手口も
特殊詐欺の摘発強化により、特殊詐欺の架電をアジアの発展途上国などから行う事例が増えています。日本人を闇バイトで募集し、ミャンマーなどに集めて詐欺電話を架電させる手口が昨今話題にのぼっています。
海外から架電すると番号表示機能により、着信を受けた側には「国際電話」と表示されたり、明らかに怪しい、見慣れない電話番号が表示されます。これでは着信を受けた側の警戒感が高まり、詐欺の成功率が低下します。
そこで国際電話を国内番号に偽装する手口としても、発信者番号スプーフィングが注目されています。
被害が拡大する恐れも
「本物の」電話番号からの着信であれば、電話口で話す人物の話を信じてしまいやすいでしょう。詐欺の成功率がこれまでとは桁違いに上昇し、特殊詐欺の被害がより拡大する恐れがあります。
それだけでなく、電話番号による認証は様々な機関で利用されています。例えばネットバンキングやクレジットカードなど、金融取引の場面でも電話番号認証は多用されています。警察署ではなく、顧客である消費者や企業の番号を偽装することで様々な被害の発生が懸念されます。そもそも電話による発信が「認証」に使用できないことになります。
発信者番号スプーフィングへの対策方法
最後に発信者番号スプーフィングへの対策法をまとめます。
全ての着信を「疑う」
掛かってきた電話は「全て疑う」ことを前提とする必要があります。
国際電話からの着信であれば、多くの人が警戒感を最高潮に高めるでしょう。警察や市役所からの着信も同様に警戒感を高める必要があります。
また、昨今はAI技術も急速に進歩しています。音声合成技術も進歩しているので、知っている番号からの「知っている声」での電話であっても油断できない時代が数年以内に訪れるはずです。
対策としてはそもそも電話には出ないことが第一ですが、電話を取る場合は要件を聞いた上で電話を一旦切り、自分で掛け直すことなどが対策として考えられます。
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