「性能1位」のセキュリティソフトがいくつも存在するカラクリ

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いくつも存在する「1位」


 セキュリティソフト各社の公式HPや製品パッケージを見ると、ほとんどのソフトが「性能1位」を謳っていることに気づくことになります。


 オンリーワンで1位のソフトが多数存在するならまだ理解できますが、どれも「ウイルス検出率」や「動作の軽さ」が1位だと言います。ではなぜこのような事が起きているのでしょうか。そのカラクリに迫ります。





まずは実例を紹介します


 まずは実例から見ていきましょう。
 いずれも各社の公式HPからの引用です。


カスペルスキー


ESET


PC Matic


 ご覧のとおり、「検知率」「軽さ」で1位のソフトが複数存在しています。
 ちなみに、こうした状況はわたしが当サイトを開設した2007年以前から続いているものです。


性能1位が乱立している理由


 一つしかないはずの「1位」が乱立している理由は以下の通りです。


各々で都合のいいデータを引用している


 どのメーカーも、自社の製品にとって最も都合のよい「試験結果」を引用しています。


どの会社も都合のいい数値を引用


 上で実例として挙げた3つのソフトでは、それぞれAV-TEST、AV-Comparatives、Virus Bulletinの3つの機関が実施した異なるテストの結果を引用しています。一口にウイルス検出率のテストといっても、テストに使う検体が異なれば若干異なる結果が出て来るのは当然のことで、それが「1位」が乱立する最大の要因となっています。


引用時期によっても差が


 メーカーの宣伝は、必ずしも各テストの最新の結果を引用しているわけではありません。


 例えばAV-Comparativesであれば年に2回以上、AV-TESTでは6回にわたりテスト結果が発表されます。傾向として検出率が高いソフト、低いソフトはありますが回を追う毎に若干異なる結果が出てきます。この差をうまく利用する形で、自社製品が良い結果を出した時の成績を宣伝する企業もあります。


 多少古いデータを引用するなら仕方ないのかなとも思いますが、2017年4月現在で「2013年」のテスト結果を堂々と宣伝している企業もあり、ここまでいくと悪質と言わざるを得ません。 ちなみに、そのソフトは2014年に悪い結果を立て続けに出して以来、性能試験に一切参加しなくなりました。もちろん、悪い結果を出したことについてはサイト上では全く触れていません。


宣伝文句に惑わされないために


 こうした「性能1位」という宣伝に騙されないために、以下の点に注意してください。


データの出典を確認しよう


 これにつきます。


データの出典を必ず確認しよう


 どの機関が、いつ実施した、何というテストの結果なのかを確認してください。


 Windows用セキュリティソフトの場合はAV-TEST、AV-Comparatives、Virus Bulletinの3機関のテスト結果が引用されていることがほとんどです。いずれの調査機関も、国内外で広く認められている機関です。


 それに加え、上でも紹介したように「いつの」テスト結果なのかも確認しましょう。
 中には4年も前の結果を紹介している例もあります。


 一番理想なのは、主要3機関の過去3年程度の結果の推移を確認するのがおすすめです。


一定のガイドラインが必要だと思います


 調査機関が複数存在することは良いことですが、そのデータの引用方法については一定のガイドラインが必要なのではないか、とわたしは常々思います。少なくとも、4年も前のデータを使った宣伝が野放しにされている現状が放置されるべきではありません。




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